先代の、レジェンドと呼ばれる遠藤秀明シェフから何代にも渡り引き継がれ、バトンを渡しあって本日まで走ってきたペペロッソ
1999年には、イタリア大統領から、外国における正統派イタリアンレストランの認定も授与された事もある歴史あるイタリア料理店です
私がバトンを受け取ったのは2015年6月の事
ご縁を得て三軒茶屋の地にやって参りました
三軒茶屋は、それまで駅前にあるバカでかいビッグエコーに一度行った事がある程度の未開の地でした
私の就任と同時に、スタッフを一新しスタートを切ったペペロッソ
今ではオープニングのスタッフはそれぞれの道を歩み出し、1人も残っていませんが、あの時を過ごした彼らは心友だと思っています
そのうちの1人は、奥さんになりました
初年度の半年は、全くお客様が来ず悪戦苦闘、試行錯誤を繰り返す毎日
三軒茶屋の洗礼を受けました
ビラも巻きました
呼び込みもしました
朝まで営業しました
やれる事は全てやりました
泥臭くても一点が欲しかった
1年が過ぎた頃から、日々奮闘する我々の想いを共感してくださったお客様方のお力でようやくお店を維持できる兆しが見えてきました
それでもトラブルは絶えません
飲食店の抱える最大の悩みであり、永遠のテーマでもあるスタッフ問題
30歳にて、駆け出しのシェフであった私は未熟でありました
35歳になろうとしている今でも未熟です
シェフとは何なのか
どうあるべきか
そもそもどうあるべきかなんてあるのか
未だに明確な答えはわかりません
【料理人は一生勉強】
かつて師匠に言われた言葉をふと思い出しました
模索し続けた今日までの5年の日々
経営者とはなんなのか
プレイヤーとはなんなのか
経営者であり、プレイヤーでもあることはなんなのか
答えは毎日探しています
【料理人は一生勉強=答え探しの毎日】
答えを毎日探す事は、毎日勉強すること
毎日違った考えを持つこと
不安が進化の原動力であること
歴史上の偉人達も同じような事を口にしている
昔の偉人達の言葉と、今の時代にもある変わらない感覚に直面した時に、嬉しさと同時に悲しさもくる
そこまで近づけた嬉しさと、超えられていない悔しさ
今までに無いものを生み出せる事が当たり前に求められている昨今
刺激で満たされる感覚は、一過性であると考えている
持続可能性とは
本当の意味での進化とは
人類が進化しているのは、【技術】が先行しているように感じる
かつての偉人達の言葉を上回ってこそ、そこに本質の進化があるんじゃないだろうか
現存する格言を上回る新しい”言葉”を生む行動こそが、物事の本質の到達点なんではないだろうか
到達点は1つではない
イタリア郷土料理を知れば知るほど、イタリアの各地の格言にぶつかる
そこをどう革新的な運動にしていくかが、伝統の存在する理由の1つだと思う
伝統とは、同じ輪廻で回り、その時に生きた人と今の時代に生きる人とを繋ぐ共通の価値観である
解釈とは、個の物事の到達点の表現の技法である
廃れるとは、解釈の質である
伝統を再解釈するとは、新しい格言を生み出すことに他ならない
ここまでが、今の私の到達点です
イタリア郷土料理を生業とする理由は人それぞれ
私はイタリア郷土料理を通して【言葉】を表現し続けます
いつか格言となる日がくるまで
池ノ上のオープン前に、
パスタの世界大会発信のためにパリ凱旋
イタリアアドリア海側縦断をして参ります
たくさんの新しい”言葉”を聞いてきます
11月、皆さんに池ノ上でお会いできる事を楽しみにしています
三軒茶屋ペペロッソ
総数約70万人の来客を支えた
34年間本当にお疲れ様でした
支えてくれたスタッフの皆様
本当にありがとうございました
私は、先代と、皆で築き上げた【ペペロッソ】を背をっていきます
ペペロッソ総料理長今井和正